眼内レンズのご案内

白内障手術後の
見え方について

  • 眼内レンズの種類によって見え方が大きく異なります。
  • 単焦点(たんしょうてん)レンズと多焦点(たしょうてん)レンズがあり、どちらかを選ぶことができます。ご自身がどのような見え方になりたいか、白内障以外に眼の病気があるかどうかなどによって、おすすめするレンズが異なります。
  • よくお読みいただき、各レンズの特徴をご理解した上で選んでください。

◎単焦点レンズは、白内障以外の眼の病気があっても使用しやすい最も基本となるレンズです。ピントの合う範囲がせまく限られていますが、その距離はくっきりと見えます。裸眼では遠くか近くのどちらか一方しかピントが合わなくなりますが、状況に応じてメガネ(老眼鏡や運転用の眼鏡など)をかければ他の距離も見ることができます。保険適応のため、特別な追加費用がかかりません。

◎多焦点レンズは、遠くから近くまで幅広くピントが合います。術後になるべく眼鏡をかけたくないという方に向いているレンズです。数多くの種類があり、なるべく広く自然な見え方となるように各メーカー独自の工夫がなされています。当院で取り扱う多焦点レンズはすべて選定療養(せんていりょうよう)の対象レンズです。つまり手術や検査、薬の費用などは保険適応となり、レンズの差額部分のみ追加費用がかかります。種類によって性能と値段に違いがあり、片眼あたり283,000〜365,000円がかかります。(本ページの最後に一覧表あり)

  単焦点レンズ 多焦点レンズ
ピントの
合う距離
1ヵ所だけ 幅広い
術後のメガネ
の必要性
必須 ほとんど不要
眼の条件 特に問わない 重度の障害がない
レンズ代金 無料 自己負担
(片眼283,000〜365,000円)
単焦点レンズ 遠く用
単焦点レンズ 遠く用
単焦点レンズ 近く用
単焦点レンズ 近く用

多焦点レンズは非常に優れた医療機器であり、高機能ではありますが、以下の点には注意が必要です。

  • 白内障以外の眼の病気など、眼の状態によっては良い見え方が得られにくい
  • かならず全員メガネ無しで生活できるようになるわけではない(手術に「絶対」は無い)
  • 病院によって多少の差はあるが、両眼で数十万円といった高額の費用がかかる
  • 手術する医師の技量や経験が重要
  • レンズの種類によっては夜間のハロー・グレアが強く感じられる
通常の見え方
ハロー・グレアの見え方

当院では無理に高額な多焦点レンズをおすすめすることはありません。特に、夜間の運転が多い方(タクシー運転手やトラック運転手など)や光に敏感な方などはハロー・グレアが無い、もしくは少ない種類のレンズ(単焦点レンズなど)を選ぶことをおすすめします。

レンズ紹介

単焦点眼内レンズ

■アルコン社製クラレオンモノフォーカル

アルコン社製クラレオンモノフォーカル

クラレオンモノフォーカルは、現在当院で扱っているメインとなる単焦点眼内レンズです。はっきりと見える焦点を、遠くか近くのどちらか一方に合わせます。

  • 術後屈折値の予測精度が高い
  • 眼内での固定位置が安定しやすい
  • 長期に渡り透明性を維持する材質
  • 後発白内障をきたしにくい

といった特長があり、クラレオンの前モデルであったアクリソフよりも改良がなされています。

  • 術後屈折値の予測精度が高い
  • 眼内での固定位置が安定しやすい
  • 長期に渡り透明性を維持する材質
  • 後発白内障をきたしにくい

といった特長があり、クラレオンの前モデルであったアクリソフよりも改良がなされています。

軸方向偏位の比較
精密なエッジデザイン
術後9年スリット写真

三焦点眼内レンズ

■クラレオンパンオプティクス

クラレオンパンオプティクス

クラレオンパンオプティクスは、遠方・中間・近方の三つに焦点が合う三焦点眼内レンズです。全世界で100万人以上のインプラント実績があり、シェアが最も高い多焦点眼内レンズの一つです。

  • 遠くから手元までバランスの良い見え方が得られる
  • 薄暗い環境でも見え方が落ちにくい
  • 長期にわたる透明性を維持しやすい
  • ハロー・グレアも低減するよう工夫されている

といった特長があります。

  • 遠くから手元までバランスの良い見え方が得られる
  • 薄暗い環境でも見え方が落ちにくい
  • 長期にわたる透明性を維持しやすい
  • ハロー・グレアも低減するよう工夫されている

といった特長があります。

優れた全距離視力
見え方
薄暮視下で眼鏡を必要としないと答えた患者様の割合
術後

多焦点眼内レンズ

■クラレオンビビティ

クラレオンビビティ

クラレオンビビティは、遠方から中間距離を重視した焦点深度拡張型レンズです。最大の特長は、波面制御テクノロジーと呼ばれる技術によって、多焦点眼内レンズの弱点であったハローグレアという光のにじみをほとんど感じさせない点にあります。夜景や夜のドライブを楽しむ方には最もおすすめしたい多焦点眼内レンズです。

  • 遠くからパソコンを見る程度の中間距離まではっきりと見える
  • ハロー・グレアが単焦点眼内レンズと同等レベルに抑えられている
  • 遠くからパソコンを見る程度の中間距離まではっきりと見える
  • ハロー・グレアが単焦点眼内レンズと同等レベルに抑えられている
見え方
術後6カ月両眼遠方矯正下視力
患者様の割合
波面制御領域
クラレオンビビティ

■テクニスオデッセイ

テクニスオデッセイ

テクニスオデッセイは、2025年2月時点で最新の多焦点眼内レンズです。テクニスシナジーの後継機に当たるモデルで、遠方から近方まで、どのような明るさにおいてもよく見えるような設計がなされています。特にハロー・グレアは大幅に改善されており、夜間の見え方も高い満足度が期待できます。

満足度
眼鏡を必要としなくなった方が93%に
連続焦点
夜間光視症を軽減
長期にわたる透明性、眼内安定性、収差の少ない基本性能の高さ

白内障手術の注意点

  • 手術中の眼の状態によっては、予定していた眼内レンズを入れずに終了する場合があります。多焦点眼内レンズの予定だった方は、術中の状態によっては通常の単焦点眼内レンズへと変更せざるを得ない場合があります(代表的な原因として、毛様小帯脆弱・断裂、後嚢破損などの合併症)。多焦点眼内レンズから単焦点眼内レンズへ変更となった場合には、多焦点眼内レンズの費用は発生せず返金させていただき、保険診療分のみのご請求となります。
  • 一度挿入した眼内レンズは基本的には「一生もの」で、30年から50年ほどもつように設計されています。ただし、眼内炎、眼内レンズ偏位、眼内レンズの物理的な損傷、前房内異物、大幅な屈折誤差などといった合併症が起こった場合、眼内レンズを取り出したり入れ替えたりする再手術が必要となることがあります(合併症の治療費は保険適応です)。
  • 合併症ではない理由(例:「遠く用の単焦点眼内レンズにしたが、思ったより手元が見えづらいのでやはり多焦点眼内レンズに変えて欲しい」「期待していた見え方と違うので違うメーカーの多焦点眼内レンズに交換してほしい」など)でレンズを入れ替える手術を行う場合には、保険適応外となります。また、その場合、初回手術でお支払いいただいた治療費(眼内レンズ代金を含む)は返金致しかねます。そのため、使用する眼内レンズについて事前によくご検討を頂くことが大切です。
  • 手術については院長およびスタッフから詳しくご説明する機会を設けております(手術の約1~2週間前に予約をお取りします)。ご質問がございましたらいつでもご相談ください。

料金表

レンズ種類 単焦点 多焦点
遠く用 近く用 パン
オプティクス
オデッセイ ビビティ ファイン
ビジョン
遠くの見え方
(5m~∞)
×
中間の見え方
(75cm)
× ×
近くの見え方
(30~40cm)
×
(40cm)

(40cm)

(35cm)
ハロー・グレア なし なし あり あり
(やや少なめ)
なし あり
(やや少なめ)
コントラスト
追加負担額
(片眼あたり)
0円 0円 乱視矯正なし:
283,000円
乱視矯正あり:
335,000円
乱視矯正なし:
315,000円
乱視矯正あり:
365,000円
乱視矯正なし:
283,300円
※乱視矯正用は
まだ利用できません
乱視矯正なし:
283,000円
※乱視矯正用は
まだ利用できません

◎:非常に良い ○:良い △:まずまず ×:良くない

●単焦点

  遠く用 近く用
遠くの見え方
(5m~∞)
×
中間の見え方
(75cm)
× ×
近くの見え方
(30~40cm)
×
ハロー・グレア なし なし
コントラスト
追加負担額
(片眼あたり)
0円 0円

●多焦点

  パンオプティクス オデッセイ ビビティ ファイン
ビジョン
遠くの見え方
(5m~∞)
中間の見え方
(75cm)
近くの見え方
(30~40cm)

(40cm)

(40cm)

(35cm)
ハロー・グレア あり あり
(やや少なめ)
なし あり
(やや少なめ)
コントラスト
追加負担額
(片眼あたり)
乱視矯正なし:
283,000円
乱視矯正あり:
335,000円
乱視矯正なし:
315,000円
乱視矯正あり:
365,000円
乱視矯正なし:
283,300円
※乱視矯正用は
まだ利用できません
乱視矯正なし:
283,000円
※乱視矯正用は
まだ利用できません

◎:非常に良い ○:良い
 △:まずまず ×:良くない