一般診療について

前のページに戻る

近視

近くは見えるのに遠くが見えにくい症状です。

【子どもの近視について】
近年、世界的に近視の人口が増えてきており、社会問題として認識されています。
世界の近視人口は2020年時点で約26億人、2050年には約48億人に増加すると見込まれており(1)、我が国も例外ではありません。
特に子供においては、スマホやタブレットの使用が影響していることがわかっています。
これについて日本眼科医会は子供向けの眼の健康啓発マンガを公開(2)したり、日本医師会は会誌で「子どもの近視・大人の近視」の特集を組んだりと、近視のリスクや予防の必要性について広く注意を呼びかけています。

なぜ近視を予防しなければならないかというと、単に「裸眼視力が悪くなるから」という理由ではありません。
裸眼視力というのは眼鏡をかけないで測ったときの視力のことですが、近視が強くなればなるほど遠くがぼやけて感じ、裸眼視力は低下します。
これだけであればその程度に応じた眼鏡をかけることで、きちんと遠くが見えるようになります。
これを眼鏡による「矯正(きょうせい)」といいます。ところが、近視が進行した場合、裸眼視力だけではなく、矯正視力そのものが落ちてきてしまうリスクがあるのです。
つまり眼鏡をかけても見え方が悪いままとなってしまうという状態です。

一般的に近視が進行すると、緑内障、近視性脈絡膜新生血管、網膜剥離、黄斑分離症、黄斑円孔などといった眼の病気が発症しやすくなります。
あまり聞き馴染みがないものもあるかもしれませんが、これらは気づかずに放置した場合に失明する恐れがある病気です。
徐々に近視が進行することで大人になったときにこれらの病気を発症してしまうと、それ以後の人生で見え方の重篤な支障が残ることもあります。
当院ではこれら近視と関連した病気の薬物治療や手術などを行なっていますが、「病気は予防できるのならそれに越したことはない」ということを日々痛感しています。
子供たちの将来を守るために、近視の進行を食い止めることが世界的な課題となっている理由がご理解いただけましたでしょうか。

(1) Holden, BA, et al. Ophthalmology 2016 : 123 : 1036-1042.
(2) 日本眼科医会 : 目の健康啓発マンガ ギガっこデジたん!

主な症状
近くは見えるのに遠くが見えにくい

原因

1日1時間以上スマホなどのデジタルデバイスを使用すること(3)や、読書のときよりも近い距離で画面を見ていること(4)などで、近視が悪化するリスクが高いことが示されています。

しかしながら、学校や家庭における学習環境はひと昔前と大きく様変わりしてきており、デジタルデバイスは学校教育でも必須のものとなってきていますから、スマホやタブレットを完全にシャットアウトすることは不可能といえるでしょう。

ですから、ご家庭でも近視進行の予防を意識する必要があります。すぐに実践できるものとして、以下が挙げられます。

  • スマホやタブレットの使用時間をなるべく減らす(ゲーム、動画閲覧など)
  • スマホやタブレットの画面を見る際には距離を少し離す
  • 30分に一度程度は目線を遠くに外し、目を休める
  • 屋外でときおり日光に当たる

(3) Tsai TH, et al. Ophthalmology 2021 : 128 : 290-301.
(4) 野原尚美, 他 : あたらしい眼科 2019 : 36 : 845-850.

治療

病院で積極的に行うことができる治療としては、

などが、科学的根拠のあるものとして注目されています。
特に当院も導入しているオルソケラトロジーは、子供の近視進行を予防する効果が高く、安全性も高いことがわかってきています。
日中には眼鏡やコンタクトレンズをつけずに済むというメリットがあるため、スポーツなどで活発に動き回るようなお子様におすすめできる治療法です。